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SFミステリーの傑作 「星を継ぐもの」ジェイムズPホーガン

はいどーも、本日はミクラステリアスが担当。
世界中で読まれている傑作SF小説についてネタバレなしで
紹介していきますゆえ、どーぞよろしく。

30年以上世界中で愛されているSF小説の巨星

30年以上、世界中で読まれて、未だなお色褪せないSF小説。
それが本日のオススメであるJ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」である。

ちょとだけAmazonのあらすじが物足りないのでもう少しだけ
わかりやすく解説してみたい。

月面で真紅の宇宙服を身にまとった死体が発見される。
当然人類はその死体を地球に輸送し綿密な調査を開始。
そこで驚くべき事実が判明する。
その死体は五万年前に死亡しているということ。
その死体の所持品からは現存する地球上の文明とは別の文明の痕跡が発見される。
地球上に存在していない言語と文字などである。
5万年前というのは地球上にまだ人類文明は出現しておらず
ましてや月面に行くことなど不可能。
しかし発見された死体は文明の証拠と言える見慣れない宇宙服を身に付け
文字と言語を使用していたこともわかった。
この5万年前の死体の正体は一体なんなのか・・・・
地球上のあらゆる分野の専門家たちが集い、この謎に迫る。

とまぁこんな感じである。
最高に好奇心をそそられる。
この時点で好奇心をそそられない人などいるのだろうか。
そんな人がおられるなら、わたしの脳みそでは理解不能である。
だって月で人類文明出現以前の死体が発見されるんですよ!?
しかも!!人類に匹敵するような文明の痕跡を持って。
それって基本的にありえないか、地球外文明ってことになる。
その謎に人類の研究技術、知識を総動員して挑むわけ。
そしてもちろん解明された真実は、
読者のハートを熱く揺るがす一大ロマン!!!スケールが違う!!
今まで多くの小説を読んできたミクラスですが
この小説のロマンの大きさを超えた小説には未だ出会えていない。
それが30年以上愛され続けているこの小説の最大の魅力である。
ラストのカタルシスはもう心に隕石が衝突したような、
でも吹っ飛ぶのではなくて隕石と心が融合したような
新たな世界を見たような、
なんだか全身の血が沸騰しているのに妙に懐かしい、
それでいて何故だか涙がこぼれそうになる孤独な感情を味わい
本書に打ちのめされたのである。
海が見たい。海に還りたい。砂浜を歩きたい。
そんな感情がほとばしる熱いパトスで物語は神話になる。
これぞ最高の読書体験の一つだった。
もはやこれは読書とかそういうレベルの感情ではなかったように思う。
普通に読書なんだけど。なんだこれ。神話である。

謎解明に乗り出す地球人のドキュメンタリテイスト

実は読み手を非常に選ぶ小説でもある。
まず、翻訳モノなので文章がかたく、登場人物の名前はわたくしミクラスのように全てカタカナである。
苦手な人、多いだろうよ、わかる。ぼくだって得意ではない。
さらに自然科学やある程度の基礎教養、知識がないとちょっと難しい瞬間がある。
知識がない人にも読めるには読めるけどちょっとしんどい文章が続くことに。
また派手なストーリー展開は皆無で
まじで人類が謎に挑む研究に参加する感じの読み味なので
行き止まってはちょっと進んで、
新たな情報をつかめば、また新たな矛盾にぶつかって・・・。
かなり探求好きや謎好き、硬い文章が平気な人、
理系脳の人には苦にはならず
楽しめるかもしれないが、
わりと読み進めるのに苦戦する人も多いだろうなとは思う。

ミクラス的にも中盤をがっつり楽しむことが出来たかというとそうではない。
ちょっとしんどいぞ???と感じたりする瞬間もあった。
この小説は息も継がせぬ展開に次ぐ展開を餌にしたSF小説ではない。
ありえないであろう謎を人類の知識を総動員して分析研究し、
結論を導き出すまでのドキュメンタリテイストの小説である。
考えてもみてくれたまえ。
たとえば、コロナである。
コロナのワクチンや薬の開発って、
おそらくの話だが、あーでもない、こーでもない、
研究の末やっと見つけた一つの解が、人にとって安全とは限らない。
そんなことを繰り返して、効果があり安全性の高いワクチン開発の目指すのだろうと思う。
それは楽しい物語の展開ではなく苦難に満ちた暗闇を切り開いていくような過程なのではないだろうか。
この小説はその苦難の研究の道のりを実にしっかりと描き込んでいる謎解きミステリでもあるのだ。
荒唐無稽なSF設定に論理で説明できる解を与えるということに挑んだ大作なのである。
もちろん、ありえない話なのでSFなのだが、
そこに解を与えるという
作者の挑んだロマンを味わうことができる。
読み味も決して滑らかというわけではないし、
派手な物語が展開してページを止められないというわけでもない。
人類の研究に付き合う地味な読み味は時にしんどい気持ちになるかもしれないが
それこそが謎に挑む研究のしんどさに通じるとすれば
苦難を乗り越えてたどり着く謎の解明は
まるで自らが長いトンネルを超えて共に研究してたどり着いたような一種の達成感と高揚が味わえると思う。
そして用意されている真実はただの達成感以上の衝撃と
無類のロマンを読者のハートに焼き付けてくれるであろうことを保証したい。
なおこの保証に返金等はない。
保証に返金はないが、しかし苦労してラストまで読み切って欲しい小説である。
苦労した分だけラストは最高に胸を打たれること間違いなし。

30年愛され続けてきたことこそが、やはり面白い小説であるということを証明している。
酸いも甘いも正直に記した。
活字が苦にならない、SF好き、ミステリ好きはぜひこの謎の解明の人類の研究に寄り添ってほしいと思う。

・SFミステリである
・地味な研究ドキュメントのような読み味
・活字慣れした読み手を選ぶ作品である
・惑星や地球外生命とのバトルなど派手なSF演出はない
・決して楽な読み味ではないが苦難を乗り越えた先のカタルシスは桁違いのロマンと感動に溢れている
・30年以上世界で愛されている傑作SF小説である
 

それでは本日はこのあたりで。コメント欄でのネタバレは禁止でよろしく!